遺伝によって起こる先天性の眼の疾患

これからの医療は「遺伝」がカギになる

眼に現れる遺伝性疾患

眼の病気の中には、遺伝性疾患のものも存在します。身近なところでいうと、近視や乱視といった屈折異常もその一つ。屈折異常のすべてが遺伝に起因しているというわけではないものの、常染色体優性遺伝が原因となるケースもあります。ほかにどういった眼の疾患があるのか詳しく見ていきましょう。

眼に現れる遺伝性疾患

色覚異常

選定性の色覚異常は、X染色体が色覚異常の遺伝子を持つことで起こります。色覚異常が多く見られるのは男性です。その割合は、男性人口の5~6%ほどといわれています。男性の発症率が高い理由は、色覚異常がX染色体劣性遺伝であるためです。男性の場合、母親からのみX染色体を引き継ぐため、母親に色覚異常の遺伝子があれば色覚異常が起こります。一方、女性は両親からX染色体を受け継ぐため、両親のどちらかのX染色体に色覚異常の遺伝子が見られても色覚異常が表に現れることはありません。先天性色覚異常の有効な治療法は今のところ見つかっていないのが現状です。ただ、症状が悪化する心配もないといわれています。色覚異常がある場合は、自分がどの色が見えづらいのかを理解しておくことが大切です。

先天白内障

高齢者が発症するイメージの白内障ですが、なかには先天性のものもあります。先天白内障の原因には、母体内感染や全身疾患に伴い発症するケースのほか、常染色体優性遺伝や染色体異常により起こる場合も。なお、遺伝性のものは、全体の20~30%ほどといわれています。先天白内障は生まれつき水晶体が白濁しているため、外部からの光を網膜に届けることができません。その状況が長く続くと弱視になる可能性もあることから、早い段階で手術を行うのが一般的です。

先天緑内障

緑内障は、眼圧上昇により視神経に障害が起こり、それにより視野が狭くなってしまう病気です。なかでも遺伝性の先天緑内障では、生まれつき隅角の発達異常がみられます。先天緑内障の診断後は、隅角切開を行い房水流出を促す手術を行います。先天緑内障は遺伝子が常染色体優位遺伝の形式をとると解明されつつありますが、眼圧上昇のメカニズムについては、まだはっきりとしたことは分かっていません。

網膜色素変性

網膜色素変性も遺伝によって起こる病気です。網膜に異常がみられ、視野狭窄の症状を伴います。進行すれば中心視野もなくなり、失明状態となることも。網膜色素変性は、常染色体優性や常染色体劣性、X染色体劣性などさまざまな遺伝の形式をとります。有効な治療法は今のところ確立されておらず、網膜色素変性を有する方の多くが視機能を維持するためのリハビリテーションに取り組んでいます。

網膜芽細胞腫

常染色体優性遺伝によって形成される遺伝性のがんです。網膜芽細胞腫はRB遺伝子が原因であることが分かっています。患者の約95%が5歳までに網膜芽細胞腫の診断を受けるといわれています。黒目が白く輝いて見える網膜芽細胞腫は発見がしやすく、治療も早い段階で行われることが多いです。そのため、生命の危機も低いと考えられます。治療法は、抗がん剤による化学療法や、放射線療法、光凝固などがあります。

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