注目される新たな分野「遺伝看護」

これからの医療は「遺伝」がカギになる

新たな分野「遺伝看護」

2016年に新設され、2017年から認定が始まった新しい専門看護師の分野が「遺伝看護」です。どのような役割を持ち、業務を遂行するのかを詳しく紹介していきます。

新たな分野「遺伝看護」

遺伝看護専門看護師とは

遺伝看護専門看護師は、対象者となる患者の遺伝的課題を見極めた上で診断・予防・治療に際しての意思決定支援やQOL向上を目的として療養生活の支援を行い、必要とされる医療やケアを受けられる体制の構築と医療発展に貢献する役割を持ちます。近年では遺伝子検査がブームになるなど、遺伝に対する興味や関心が高まってきました。その中で、遺伝看護専門看護師は何を提供していくのでしょうか。

主な業務内容

遺伝医療に携わる際、看護師は患者や家族に対して遺伝が要因となって起こりうる健康状態への影響を解説し教育する役割を担います。遺伝のリスクについて理解してもらった上で、助言や治療のサポートを行います。遺伝医療は別名「予測医療」とも呼ばれています。例えば、がん患者が近親者にいる人に対して、まだ病気になっていない段階から遺伝の傾向や可能性を示し、医療を提供します。病気になっていない段階なので、治療よりもカウンセリングや指導の面が強くなります。

求められるもの

遺伝性疾患のリスクを抱えた人々が安心して生活を送れるようにするために、遺伝看護専門看護師には様々な能力が求められます。まず、患者のニーズを明確化する能力が必要です。遺伝性疾患を発症しても、患者本人がその病気に対して遺伝的なリスクがあることを理解していない可能性があります。逆に、本人が遺伝によるものだと思い込んでいても、実際には関係ないケースもあります。そういった患者に対し、遺伝的な観点から課題を明確にして、必要な情報を伝えていく能力が求められます。
また、遺伝性疾患は治療を行っても完治に至らないケースがあります。生涯に渡り病気と向き合うケースも多いでしょう。そういった厳しい状況の中でも、安心かつ可能な限り負担の少ない療養生活が送れるように、様々な支援を行っていかなければなりません。
そして、心理的支援も必要です。例えば、胎児に染色体異常があり、それが判明した場合に家族は大きなショックを受けるでしょう。そして今後の人生について考え、結論を出さなければなりません。大きなストレスを抱えた患者や家族を心理的な面からケアすることも、看護師に求められる重要な役割です。

関連機関や資格

遺伝看護に携わる看護師をバックアップする機関として、専門看護師の認定を行う日本看護協会の他に、「日本遺伝看護学会」や「日本遺伝カウンセリング学会」があります。日本遺伝カウンセリング学会では、専門医と連携して遺伝カウンセリングを行う専門家であることを証明する資格、「認定遺伝カウンセラー」の認定を行っています。

遺伝を詳しく知る

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