まれなケースのその他の遺伝性疾患

これからの医療は「遺伝」がカギになる

その他の疾患

ハンチントン病やウィルソン病以外にも、遺伝性疾患には様々な種類があります。ここでは、遺伝形式ごとにいくつかの疾患をピックアップして紹介します。

その他の疾患

常染色体優性遺伝の疾患

まずは「リ・フラウメニ症候群」です。家族性の好発がん性を示し、TP53と呼ばれる遺伝子の異常によって発症します。2つの定義があり、1つは本人が45歳以前に肉腫と診断され、近親者に45歳未満のがん患者や肉腫患者(年齢問わず)がいる場合で、もう1つは近親者に年齢を問わずリ・フラウメニ症候群に関連する悪性腫瘍を持つ患者がいる場合です。
次に「リンチ症候群」です。遺伝性非ポリポーシス性大腸がんとも呼ばれます。若い段階で大腸がんや多臓器がんなどを発症するリスクの高い疾患で、SH2、MLH1、MSH6、PMS1、PMS2などの遺伝子に異常があるケースです。DNA複製に伴う修復機構に異常が見られます。

常染色体劣性遺伝の疾患

「色素性乾皮症」は、通常よりも激しい日焼け反応や皮膚がんになりやすいなどの症状がある疾患です。そのうち、半数以上の患者は神経症状があります。割合としては、2万5000人に1人で、XPA~GあるいはPOLH遺伝子に異常がある場合に発症します。症状は遺伝子異常の原因によって異なります。
「コケイン症候群」は、小頭症や低身長などの発育異常、脳の白質石灰化、早期老化などを伴う疾患です。50万人から100万人に1人の割合で発症する遺伝性疾患です。紫外線によるDNA損傷を修復する際、転写による修復機構に異常があることで発症します。異常のある遺伝子の種類によっては、色素性乾皮症を併発します。XPF遺伝子に異常がある場合は、それに加えてファンコニ貧血を併発する可能性もあります。
「硫黄欠乏性毛髪発育異常症」は、毛髪が脆くなり、爪ジストロフィーや発育障害などの症状があります。ただし、好発がん性はありません。XPB、XPD、TTD-A遺伝子に異常があると発症しますが、非常にまれな疾患です。
「紫外線高感受性症候群」は、発育異常の中でも重度なもの、特徴的顔貌などの症状があります。ただし、知能には異常がないケースもあります。これも非常にまれな遺伝性疾患です。
「毛細血管拡張性運動失調」は、運動失調症、免疫不全、毛細血管拡張などの症状があり、好発がん性があります。10万人に1人の割合で、ATM遺伝子に異常がある場合に発症します。
「ファンコニ貧血」は再生不良性貧血や白血病などの血液系の疾患や、発育異常、身体奇形などの症状を伴う疾患です。基本的に常染色体劣性遺伝の遺伝形式ですが、まれにX連鎖性劣性遺伝のケースもあります。DNAの二重鎖間を修復するメカニズムに異常があります。

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