常染色体優性遺伝による遺伝性疾患「ハンチントン病」

これからの医療は「遺伝」がカギになる

ハンチントン病(常染色体優性遺伝)

常染色体優性遺伝による遺伝性疾患「ハンチントン病」を紹介します。どのような病気で、遺伝のメカニズムはどうなっているのかを詳しく見ていきましょう。

ハンチントン病(常染色体優性遺伝)

ハンチントン病とは

ハンチントン病は、自分の意図しない運動や筋肉のひきつけが起こる「不随意運動」が主な症状です。精神症状や性格変化が見られるため、統合失調症などの疾患と間違えられることも多いです。長期に渡って全身が蝕まれていく可能性のある病気で、優性遺伝による疾患のため男女差はほぼありません。中年期に発症するケースが多いものの、成人前に発症することもあります。

遺伝のメカニズム

ハンチントン病の原因遺伝子は、ハンチンチンまたはIT15と呼ばれる染色体にある遺伝子であり、遺伝子内の核酸配列に異常が起こることで発症します。核酸配列が長ければ長いほど症状が強くなる傾向にあります。さらに、下の世代になるごとに長さが伸びていくことから、親よりも子どものほうが重症化しやすいです。女性よりも男性から受け継がれた場合のほうが長くなりやすく、ほとんどの場合は父親からの遺伝が原因です。子どもが発症した後に父親が発症することもあります。

原因は未だ不明

遺伝子の異常による遺伝性疾患ですが、なぜそのような異常が起きるのかはまだ解明されておらず、難病として厚生労働省の特定疾患に指定されています。常染色体優性遺伝の遺伝形式であり、発病する人の遺伝子はヘテロ接合であることが多いです。両親のどちらかが患者の場合、その子どもは50%の確率で発症します。自身がハンチントン病を発病した場合、子どもや孫に変異のある遺伝子を伝えることになりますが、症状の程度には個人差があります。

ハンチントン病の検査

ハンチントン病は遺伝子検査をすることで確定診断や発症前診断を行うことができます。ハンチントン遺伝子上で3塩基CAG反復配列が36回以上伸ばされていることでハンチントン病と診断されますが、もし36~39回だった場合は症状が出ない不完全浸透です。しかし、自身が不完全浸透であっても下の世代になるにつれて重症化する傾向があるため、子どもが発症する可能性はあります。
一方、3塩基CAG反復配列が40回以上だと完全浸透であり、およそ80歳になるまでにはほとんどの確率でハンチントン病を発症します。発症前診断などの専門的な相談については、大学病院などの専門機関で受診することが推奨されています。確定診断のために行う遺伝子検査については、保険収載の範囲に定められています。

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